鍛鉄な日々

机の上に、何やら強そうな図案を見かけてからしばらくすると・・・・


それは仕事の合間を縫って、立体になっていきました。


「ゴー!!」

「カン! カン!」


音につられて覗きに行くと、暑い!


ただでさえ暑いのに、鉄を溶かしている!?


ゴーという音は火を煽る送風の音だった。


熱せられ、朱色に輝く鉄を取り出しては、一心に叩いていく。


大小さまざまな長さ、太さの鉄片たちが、ちょうどよい頃合いの色になるまで、炉の中で順番待ち。


固く黒いと決まっているはずの鉄が、赤白く光っているのは実に美しい。


仄かに白い鉄が選ばれると、息つく間もなく窪みだったり、尖った大砲玉のような先だったり、作ろうとしているものに合わせて、瞬時に凹凸が選ばれ叩かれていく。


原案も見て、実際叩いているのを目の当たりにしながらも、


今どのパーツを作っているのか、


作ろうとしているのか皆目見当がつかない。


話しかけて、問いたいことはたくさんあるが、スピード勝負なのはド素人の私にも迫力を持って伝わってくる。


全てのパーツが出揃い、どうやら本日の鍛鉄は終わりのよう。


ひと言もしゃべらず叩き終え、ふーっと一息ついた代表の顔を見ると、


まだ静まらない残り火が顔にうつるように火照っている。


それにしても大量の汗と・・・


その顔についている黒いのは煤ですか?


もう気が付いたら21時を回っている。


代表、本当にお疲れ様。


後日、一度銀色に磨き上げた鉄のパーツに、蜜蝋や茶葉を使用し、抑えめの黒に仕上げるそう。


堅木と組み合わせて物干し台になるんですって。


いいな。


美味しいビールを飲みながら、さっきまで飲み込んでいたあれやこれやを聞かせてもらおう。


written by buchi