久しぶりに、代表の仕事を覗きたくて出かけてみました。
何々?、
山の中の倒木を引っ張り上げるのに、仕掛けを作っている最中だと言う。
「仕掛け」とは、面白そう!
よく分からないまま着いた現場は、とある湾を見下ろす崖の斜面。
日向はすでに暑いのに、その場は木々が作り出す木陰と、
海からの風で涼しい。
気持ちいい~!
崖の上、平らな所で鎮座している新顔くん、これは一体何者なのか。
聞くと、私が知らなかっただけで新顔でもないらしい。
足はキャタピラだが、上にはいくつも並んだレバーと大きなウインチ、私にはお手上げ部品がてんこ盛り。
ああ! そういえば、
以前中古のコンバインを買ったと思ったら、
庭先でトンテンカンテン、焼いたり、切ったり貼ったり、叩いたりされていたような。
こんなゴツイ体に生まれ変わっていたのか。
しかも、まだ未完成でエンジンむき出しにも拘わらず現場を渡り歩いているらしい。
*昭和生まれの集材機(林業で使う複数のウインチが付いた機械)にほぼスクラップのコンバインの足を付けて自走できるようにしたもの。 (代表談)
崖の上から下を覗くと、高低差30mほど!
斜面の半ば、冬の豪雪か、台風の影響なのか、大木を含む木々が下へと倒れている。
あれらを、上へ持ち上げるミッションなのは分かった。
でも、どうやって!?
ぐるりと見渡すと、太めの立木、6,7本の上方にワイヤーの道となる滑車が取り付けられている。
人力では不可能な見るからに重そうな鉄の器具も、高木に取り付けてある。
「重たい道具の設置も、順序を考えて上手いこと機械にやらせるんだ」 とは代表の言葉。
でも、
出来上がりの仕掛けを見ても良くは飲み込めない。
ドドドドドー!
突然轟音と共に、自作ウインチくんにエンジンがかかる。
もう周りで少々怒鳴っても何を言っているのか分からないほどだ。
レバーがガチャガチャと動かされ、ウインチが回り始める。
あっちでもこっちでもワイヤーが動き始め、
ワイヤーが張るにつれて、気持ちの糸も段々張ってくるのが分かる。
なんという緊張感! 張ったものは弾け飛ぶか、緩ませるしかない。
気になる箇所の不具合を直したら、いよいよ本番。
吊るものの重心を考え、引きずらないようなワイヤー掛け。
30m崖下の仲間とは、トランシーバーで連絡を取り合う。
吊られ始めると、なぜかホッと安心する。
ゆっくり動くエスカレーターにでも乗っているのを見るように、
そうか、やっぱり無事に登ってきたか、という感覚。
崖上、着陸寸前にはまた緊張が走る。
のたうち回り、ワイヤーが外れはしないかと・・・。
カナカナの鳴く夕暮れ時、山と積まれた丸太たち。
命懸けの仕事だな、と大げさではなく本当に思う。
ワイヤーが切れて飛んできたら・・・とか、引っ張る力に負けて木が折れたら・・・
もちろんそれらの対策を立て、基準や検査、資格や講習あってのことなのだが、
素人目には終わるまで恐ろしい想像が付きまとう現場でした。
ふう、緊張した。
今日も無事に食卓を囲める幸せ、お疲れさまです。