自然の素材を「材料」として使えるようにするまでには手がかかります。
コツコツと下ごしらえをしたり、何年も寝かせたり。
それぞれの工程の中にもまた沢山の小さな工夫の積み重ねがあります。
工事以前のこうした工程も、職人の大切な仕事です。
ですが効率優先からこうした手間を省き、あるいは手間のかかる材料自体を省き、
早くて簡単便利な、誰でも扱える規格化された工業製品をカタログから選んでそれらしく組み立てていく。
質というよりは安いか早いか。そんな仕事が、造園の分野にもはびこっています。
ものづくりが人の手からどんどん遠ざかっている現状があります。
一方で、近年、住宅業界・建設業界に限らず「エコ」「ナチュラル」「ロハス」といった言葉が溢れています。
施工においても、法的に生産から廃棄に至るまでの環境負荷の考慮が求められます。
しかし、それらしく装った工業製品は、本当に効率が良く「エコ」なのでしょうか。
カタログから始まる庭づくりではなく、それぞれの現地に立ってどんな景色を創るかを思い描く。
そこからが始まりだと思います。
時には歴史や風土、そういった土地の記憶に耳を傾けること。
大げさかもしれませんがそこにこそ物語があります。
新たな可能性が開けます。庭をつくるわくわくが生まれます。
そんなことを心がけて庭づくりに取り組んでおります。